ヘミシンクの講演会の記事

コスモスのお花畑

日本心霊科学協会東京本部の講演会において、九州和の会会長がヘミシンクの講演をした際の記事を公開します。

臨死体験をした人は、体外離脱(幽体離脱)を経験されますが、ヘミシンクでも同様のことを経験されており、非常に興味深いものとなっているのではないかと思います。

参考文献もありますので、これらと照らし合わせながら読まれると、臨死体験、体外離脱、死後の世界について、さらに深く理解でき、死後の世界に対する信ぴょう性も高めることができるのではないかと思います。

演題「ヘミシンクによる無意識世界の探求」の記事

1.概要

私は50年程前に自己催眠を日常的に実行していたが、その為か、非日常的と思われる心霊的現象(幽霊を見た体験、古代ローマ時代と思われる光景を見た体験、ガイド(背後霊)から注意を受け命拾いした経験等)を体験する機会があった。

これらの機会における自分の状態や状況から、自分が催眠状態になっていたと推察された。

そこで、催眠状態で、どのような体験が出来るかを知るため、モンロー研究所のヘミシンクを用いた公式プログラム並びに非公式セミナーのF10~F49までを受講した。本発表では、その中のヘミシンクF10及びF21の体験内容及びその考察について述べる。

2.研究目的

無意識状態に自己誘導するには自己催眠を初めとして、幾つかの方法がある1,2)。

しかしながら、催眠深さの指標を持ちながら、自己催眠で連続的に誘導する事は困難である。

一方、連続的に催眠深さの指標をもって他催眠誘導を行うヘミシンクを用いたセミナーが行われている3)。

そこで、ヘミシンク催眠誘導法により各催眠深度で、どのような体験が出来るかを実体験し、さらにその実体験に対して考察を加えた。

考察では、体外離脱及び臨死近辺の体験で、確認した事柄並びに体験および文献から考察した事柄について述べ、さらに、どのようなセラピー効果があるかを明らかにした。

3.研究方法:ロバートA・モンローが発見したヘミシンクの原理と催眠状態

白いヘッドフォン

モンロー研究所によって発表されているヘミシンクの原理は次のようである。

受講者は個室(非公式セミナーでは大部屋)で仰向けに寝た状態で、ヘッドホーンを付けた両耳から4~14Hzの差のある異なった音を含む音楽を聴く。

例えば、片方の耳には可聴域の150Hzを、もう一方の耳には155Hzの音を含む音楽を聞く。

この2つの音は脳幹では5HZの音が発生し、左右の脳に伝えられる。

その結果、脳は自動的に5Hzの脳波に誘導され、活動する。この周波数の脳波は催眠下で生じる状態と同じ状態を体験可能とする。

次ぎに、ヘミシンク音楽に導かれ体験した催眠状態はF10~F21と催眠深さをランク分けされるが、モンロー研究所で公表されている説明では次の様である。

ここで、ナンバーが大きい方が催眠深度は概ね深いと言われている。また、F10~F21はロバートA.モンローがヘミシンク音楽を創作したとされている。

  • F1:物質界(意識の世界)
  • F10:肉体は眠り、意識は目覚めている状態。意識が肉体の束縛から自由になり始める状態。
  • F12:知覚・意識の拡大した状態。意識が肉体的、空間的な束縛から自由になり、五感を超える知覚が生起したり、ガイド(背後霊)と呼ばれる意識存在と交信する事が可能になる。
  • F15:無時間の状態。意識は時間的束縛から自由になり、過去や未来に行くことが出きる。
  • F21:他のエネルギー系への架け橋。この世とあの世との懸け橋。物質界と非物質界との境界です。

4.体験内容と考察

4.1 F10での体験と考察

4-1-1  F10での体験

幽体離脱している女性

F10で体験した身体から霊魂が離れると感じる体験は以下の4つであった。

1)自宅での体外離脱の実験的体験、2)体外離脱により自分を含めた研修者達の仰向けに寝た姿を上から観察する体験、3)体外離脱後に東京から雲に乗って移動し自宅を往復した体験、4)体外離脱後、壁で隔てられた別室へ意識を移動し、内部に置かれた家具の種類、配置などを識別した体験。

これらの内、本発表では特に1)自宅での体外離脱の実験的体験を取り上げ説明する。

セミナー受講前に、宿題として1週間、CDのMind Food; Super Sleepを毎晩、聞きながら眠るという宿題が出て、その宿題を実行した。その結果、5日後に、体外離脱が出来そうだという感覚を得ることが出来た。

そこで、家内には実験の事は知らせず、家内とは別室に就寝し、体外離脱を自宅で試みた。

その結果、初めての体外離脱を体験した。

2回目以後の体外離脱体験では物を識別視できたのとは全く異なり、体外離脱後は、真っ暗で何も見えなかった。

しかし、自宅の為か、どこに何があるかは感覚的に分かり、家内の就寝している部屋に移動できた。

移動では、ふすまを開けることなく、通過できた。また布団及び寝間着に触ると、感触があった。

その後、元の寝床に帰った。

さらに翌日には、「気持ちの悪い事はしないでください」というお叱りを家内から受けた。

この体験を言い換えると、催眠下で、自分の身体から離れた場所に感覚・認識・記憶・思考などの意識を移動でき4)、その意識を持ったものは霊魂(ヘミシンクセミナーでは“非物質の自己”と呼んでいる)と考えられ、非物質の自己(霊魂)と身体とは別であると感じた。

即ち、人間という存在が、単なる物質的(肉体的)な生き物ではなく、身体と非物質の自己(霊魂)から成る生き物と考えられた。

また、この非物質の自己(霊魂)での触覚は微妙で、意識を指先に集中させた時に初めて布団と認識できる感触であった。

さらに、家内は自分の近くに来ている何かを感じ取っていたと考えられる。

4-1-2 F10の体験の考察

ここでは、研究的立場からの考察のみを行う。

F10の催眠状態は、肉体は眠り、意識は目覚めている状態であり、意識が肉体の束縛から自由になり始めるとされている。

この様な催眠状態での体外離脱体験を考察すると、非物質の自己(霊魂)が身体から抜け出て、実験前に計画したように現世に存在するふすまを通り抜け、また布団や寝間着に触わり、布団や寝間着の感触を感じた後、布団とか寝間着だと判断した事を意味するし、また家内も身近に何かが来たと感じた事を意味する。

これらの事から、体外離脱体験した自分はモンロー等が指摘する非物質の自己(霊魂)の存在を確認出来たと考えられた。

なお、モンローによれば5)、非物質の自己(霊魂)は①覚醒意識の存在、②知的又は感情的決断を下せる、③感覚を通しての知覚、④時間の経過で出来事が推移する事などを夢とは区別できる理由として挙げている。また非物質の自己(霊魂)の性質として5)、①感覚(触覚、視覚)がある、記憶、思考、判断が出来る②意志に従って空中に浮き上がり、移動でき、着地できる、③物質を通り抜けれる、④玉の緒を持っている等を有する事を文献の文章から判断できる。

現在、非物質の自己(霊魂)の存在は科学調査が進行している。

非物質の自己(霊魂)の存在を示す体外離脱事例は多くの書籍で報告されている5,6,7,8,9、10、11)。

例えば、文献11では、同文献の著者の一人が大病に冒され、死の宣告を受けた後、臨死体験する直前に体外離脱する。

そして霊安室を観察したり、病院から出て、知見のない町のある白色の食堂に立ち寄ったりした後、元の病院に帰り、自分の身体の近くで神の子から声をかけられたり、人生の回顧をした後、生還した。そして体外離脱の折りに立ち寄った白色の食堂を退院後に友人と同じ店であると確認している。

さらに、人の臨終の際、時には家族や友達に臨死体験が共有されることがあり、そのような現象を臨死共有体験11,12)と呼ばれているが、臨死共有体験時に生ずる体外離脱が取り上げられている。

文献11によれば、臨死共有体験の中には、瀕死の臨死体験者と全く健康な家族や友人が体外離脱する、トンネルを通る、明るい神秘的な光を見るなど臨死体験特有の体験を共有する事実が指摘されている。

これらの事例報告から言えば、臨死体験時及び臨死共有体験時での体外離脱の科学的調査によって、体外離脱は現実に起こっている現象であり、非物質の自己(魂)の存在はほぼ証明されていると考えられる。

しかし、非物質の自己(霊魂)の存在証明をさらに強固なものにするため、体外離脱者の体験報告を集める調査及び他の手段による研究が期待される。

なお、文献8,11,12からは臨死体験時の非物質の自己(魂)の性質として①感覚(視覚)がある、記憶、思考、判断が出来る、②意志に従って浮き上がって移動、着地が出来る、③物質を通り抜けられる等が文章からうかがい知る事が出来る点で、ヘミシンク催眠法の非物質の自己(魂)の性質と一致する点が多い。これらの事柄からヘミシンク催眠法での体外離脱時の非物質の自己(魂)は、臨死体験での体外離脱時の非物質の自己(魂)と酷似しており、同じ非物質の自己(魂)と考えられる。

このように考えると、ヘミシンク催眠法は、健康な人間でも臨死体験時の体外離脱を安全に体験できるという点で優れた方法と言える。

なお、ヘミシンクセミナーを受講した人達の推定10%~20%程度の人達が体外離脱を体験できているようだ。

また、一回のセッションの後に、催眠から完全に醒めるようグランデイングをすると体外離脱しやすく成る。

さらに、同一内容のセミナーを多数回受講すれば、体外離脱出来る%値は高まるのは一般の他催眠と同様である。

4.2 F21での体験と考察

4-2-1 F21での体験

三途の川にかかる橋

三途の川を体験するセッションの前に、F21に到着するまでにF10,F12,F15を通るため、意識は肉体的、空間的、時間的束縛から自由になり、五感を超える知覚が生起したり、過去に行くことが出来る事、更にF21は他のエネルギー系への架け橋、言い換えれば物質界と非物質界との境界を体験可能な事がトレナーによって予め説明されている。

このような説明の後に、F21の体験セッションに入った。

F21のセッションでは何回か臨死近辺の体験と言える体験をした。それらには次のようなものがある。

1)自分が三途の川を渡った。2)光のトンネルの途中まで行った、またトンネルの先から光が射していた3)花畑を見た、4)この世から三途の川に近づく多数の黒頭巾、黒マントの死者の騎馬隊を見た。

これらの内、主に、1)あの世とこの世を隔てる「三途の川」を渡る体験を述べる。

このセッションでは、先ず、ヘミシンク音楽でF21に着いた後、それまで心で意識的に見ていた映像とは全く異なる映像にスイッチを切り替えるように変わった。

見えてきた映像は、鬱蒼と木々が立ち並んだ山中で、先には川があった。その川の浅瀬の砂利の上を歩き、死の世界と思われる対岸に渡った。

前方には静まりかえった霧の立ち込めた野原らしい広がりがあり、更にその先は木々が立ち並んでいるようであった。足元を見ようとしたが、霧が立ち込め、足元の状態を見ることが出来なかった。

それでも、一歩一歩前に進んだ。ここで、セッションの終わりの知らせが有り、帰還し、催眠から覚めた。

4-2-2  F21での体験の考察

まず、セラピー効果の観点から述べる。F21では1)の体験をする前に、2)~4)の体験をした。

その後、1)の体験をした。1)~4)の体験前の自分の死の世界のイメージとは「真っ暗で、何の活動も見られない恐怖の世界」というイメージであった。

しかし、2)~4)の体験で死の恐怖は幾分和らいでいたが、1)の体験でも、死の世界に踏み込んでいると言う恐怖の感覚がやはり有り、更に足元を霧に覆われ、穴に落ち込む危険も感じて、この体験全般に於いて恐怖に覆われていた。

しかし、この体験によって、死の世界のイメージが「現世と余り変わらない世界」のイメージへ変化する為の一助となったと考えられる。

実際の臨死体験では、非物質の自己(霊魂)は死の世界に行く手前で、現実の世界の身体に帰り、死の世界には行かれないのであるが、催眠下での臨死近辺の体験では、川を渡り、川の向こう側(死後)まで体験出来る事が大きな利点と考えられる。

しかしながら、実際に臨死経験者の発言を記述した内容11)に比べると、自分が実際に死に直面していないし、また神々しい光に対面したり、包まれたりしておらず、また走馬燈のように過去の自分の行動を振り返る体験8)もなかった為か、体験後の感動は少なかった。

しかし、死の恐怖が和らぐ効果の一助にはなったと考えられた。

なお、記載文献11では、臨死体験者は神々しい光に対面したり、光に包まれたり或いは走馬燈の様に過去を振り返る事が、大きな感動を生んだり、人生の生き方を変えるまでの体験であった事が記されている。

また、臨死共有体験した人の場合12)には、臨死状態の人の周囲に光りが現れるのを見たり、天的音楽を聴いたり、走馬燈のように人生回顧の場面に立ち会うたりしている事が記載されている。

次ぎに、研究的立場で考察する。

ヘミシンク体験に於いて、催眠誘導によりF10~F15を通りF21に着き、それまで肉体の脳を用いて意識的に作り出していた映像とはまったく異なる鮮明な三途の川の映像が、チャンネルを切り替えたように見え始めた事は、F21の催眠状態になり、体外離脱した非物質の自己(霊魂)が非物質の感覚を使って非物質の世界の三途の川を見始めた証拠の一つであると推測された。

さらに、ヘミシンク催眠誘導法によって臨死体験ばかりでなく死後の世界も体験出来ることが確認されたので、一般的催眠誘導法によっても臨死体験ならびに死後の体験も出来ると推測できる。

以上の体験並びに考察から次のような結論を得た。

結論

1)F10の体外離脱の体験によって、モンローが指摘する非物質の自己(霊魂)の存在並びにその性質の一部が確認できた。

2)ヘミシンク催眠法による体外離脱した非物質の自己(霊魂)と臨死体験による体外離脱した非物質の自己(霊魂)は同一と考えられる。

3)F21の臨死近辺の体験は、自分の死のイメージが、「真っ暗で、何の活動も見られない恐怖の世界」というイメージから、「現世と余り変わらない世界」へと変化した原因の一つとなった。

4)ヘミシンク音楽の催眠誘導によって、F10を通りF21に着いた後、それまで肉体の脳を用いて意識的に作り出していた映像とは全く異なる「三途の川の光景」が、チャンネルを切り替えるように見え出した事は、F21の催眠状態になり、体外離脱した非物質の自己(霊魂)が「非物質の世界」で三途の川を見始めた証拠の一つであると推測された。

5)ヘミシンク催眠誘導法によれば、非物質の世界の死後の世界も体験出来る事が分かった。健康な人が非物質の世界の死の直前のみならず死後の世界を体験出来る事は大きな利点と考えられる。

6)ヘミシンク催眠誘導法によって、臨死体験ばかりでなく死後の世界も体験できることは、一般的な催眠誘導法によっても臨死体験ならびに死後の世界を体験できると考えられる。

参考文献

1)A.M.Krasner著、小林加奈子訳:ヒプノセラピー、VOICE発行、2008年10月
2)廣瀬幸市著、セラピストの変性意識状態に関する一考察、京都大学大学院教育研究科紀要 第46号P.326~347、
3)ロザリンド・マクナイト著、鈴木真佐子訳、宇宙への体外離脱、太陽出版、2008年8月
4)坂本正道著、体外離脱体験、たま出版、2003年9月
5)坂本正道監訳、川上友子訳、ロバート・モンロー体外への旅、ハート出版 2007年12月
6)樫尾直樹、山本一博著、人間に魂はあるか?、国書刊行会、2013年9月
7)笠原敏雄編・著、霊魂離脱の科学、叢文社、1983年2月
8)ジェフリー・ロング、ポール・ペリー著、河村めぐみ訳、臨死体験 9つの実証、ブックマン社 2014年10月
9)板谷 樹、宮沢虎雄著、霊魂の世界、徳間書店、1978年8月
10)マイクル・B・セイボム著、笠原敏雄訳、続「あの世」からの帰還、日本教文社、2016年2月
11)レイモンド・ムーデイ、ポール・ペリー著、矢作直樹、堀天作訳、生きる/死ぬ その境界はなかった ヒカルランド発行、2013年2月
12)レイモンド・ムーデイ、ポール.ペリー著、堀天作訳、臨死共有体験、ヒカルランド 2012年5月